「座る場所」を意味する、ZA STOOL

emeco（エメコ）
ZA Counter Stool（ザ・カウンター スツール）
デザイナー：深澤 直人

シンプルで機能的なアイテム

簡素かつ多機能で誰でも無意識に好んで座りたくなる椅子

emeco（エメコ）社は、日本の著名なデザイナー深澤直人氏の協力のもと、
アルミニウムからなる3種類の高さのスツールを2021年に発表しました。

名称は日本語で「座る場所」を意味する、"ZA（ザ）"と言います。

この名前によってこの椅子が場所を問わず使える簡素かつ多機能で、
誰でも無意識に好んで座りたくなる椅子であることを表現しています。

深澤氏は『座っているかぎり幸せな気持ち』を提供しうる椅子を
思い描いたという事と、シンプルかつ人々にもたらす「ZA」は
どのような環境にもマッチし流行にとらわれないアイテムとして世代を超えて使用され、
重宝され、維持され、受け継がれていく。
それは、この椅子の元祖とも言えるEMECO社オリジナルの
「NAVY 1006 CHAIR」と同じと言えます。

1点1点が、熟練工によって丹念に作り上げられる彫刻的なフォルム

エメコは1944年にペンシルヴェニアで設立。第2次大戦の間はアメリカ合衆国政府から潜水艦や船の上で使用する、海水や潮風に強いチェアの開発・製造を受注、事業を拡大しました。中でも「No.1006」はネイビー・チェアという愛称がつくほど普及しました。それは77段階もの様々な工程を経てようやく完成するものであり、エメコのアルミ加工技術の高さを体現するものでした。エメコチェアは、アメリカでは希少なハンドメイド製品のひとつであり、1点1点熟練工によって丹念に作り上げられるチェアは、彫刻的なフォルムと温もりと存在感を放ちます。スタンダードなブラッシュ仕上げはハンドブラッシュの温かいテクスチャーで、光沢の美しいポリッシュ仕上げは、1脚磨きあげるのになんと約8時間もかけられ、その深い光沢はひとつのアートと言っても過言ではありません。

深澤直人氏は奇抜なアイデアだけではなく、簡素さと昇華された美を表現するデザインで知られています。無印良品、ハーマン・ミラー、B&B イタリア、マルニ、その他、欧州から米国、アジアに及ぶ多くの主要ブランドのデザインを深澤氏は手掛けてきました。そのデザインとユニークなアイデア、コンサルティングの実績は精密電子機器から家具、インテリアまで多くの分野に及びます。深澤氏は21_21 DESIGN SIGHTの取締役をはじめ、多くの企業の顧問や役員をつとめており、2006年にはジャスパー・モリソン氏とともに『スーパーノーマル』というブランドを立ち上げ、2017年には『レーベ・クラフト賞』の審査委員に選任されました。2012年からは日本民芸館の館長もつとめており、2018年に『NAOTO FUKASAWA EMBODIMENT』（深澤直人による体化、PHAIDO出版）が出版されました。

emeco社の物語は、アメリカ合衆国海軍の潜水艦と船で使用するためにアルミニウムの椅子「Navy 1006」 の生産を開始した1944年に溯ります。第二次世界大戦後、何十年にもわたり、emeco社の椅子の最大の顧客はアメリカ合衆国政府でした。近年では、コカ・コーラ社と共同開発を行ったり、フィリップ・スタルクなど著名なデザイナーを起用するなど多方面で優良なタイムレス・プロダクトを発信しています。